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2019.05.28 / EVENT

【レポート】5/14(火)『医師の働き方に驚く会』 -これでいいのか、医師の働き方。

AUTHOR / 桑畑 健

~第1回医療デザインワークショップ「医師の働き方に驚く会」~

2019年5月14日に開催された日本医療DesignCenter主催のワークショップについて、そのエッセンスをお届けします。実際はここにはとてもご紹介できないような過激な発言も多数飛び出しました。興味をお持ちの方はぜひ第2回のワークショップにご参加ください。

独身の女医が増え、地方の医療は崩壊する

「優秀な女医ほど、結婚できなくなりますよ」。

口火を切ったのは、一人のパネリストのそんな刺激的な発言だった。

ここは東京・青山の某ビルの一室。6名の医師をパネリストに迎えて20時から始まったのは「医師の働き方に驚く会」というワークショップ。元医師や医療事務、薬剤師、弁護士、メディア関係者など幅広い分野のオーディエンスが会場を埋めた。冒頭の発言が飛び出したのは、「医師の時間外労働は年1860時間以下」などと定められた“働き方改革”に話題が及んだときである。

その言葉にパネリストの女医は「忙しすぎて出会いの時間がどんどん減っていく」と大きくうなずき、別のパネリストは「若い医師を早く帰してあげるため、結局、働き盛りがさらに働くようになる」と訴えた。

「地域医療を支える“田舎の医者”ほど頑張れという話。それを嫌って若い医師は都会に集中するから、地方の医療は確実に崩壊に向かうだろう」と、危機感たっぷりな訴えも響いた。

「飲まなきゃやってられないよ」と缶ビールを手に話すパネリストたちと、それに同調するように缶チューハイを飲む参加者たち。明るく、笑い声が飛び交うパネルディスカッションとなったが、発言は過激で、実に示唆に富んでいる。

これぞまさに“闇”

“マジで?!”

そんな声が会場内でいくつも漏れたのは、“無給医”に話題が及んだときのことだった。

司会者の要請でパネリストたちが月の残業時間を明かしたとき、最も若手の医師が「35時間」と回答。“いうほど多くないじゃないか”という空気に包まれた直後「間違いました! 週の残業時間でした」と、本人が慌てて修正したのである。

「ということは月の残業が140時間ってこと?」と、別のパネリストが驚きの声を上げると、もう一人のパネリストは「自分も経験があるけれど、その状態で当直明けにクルマで帰宅するのは本当に危険」と注意を促した。

これだけ働いているのにアルバイトしないと生活できないという“無給医”。なぜそんな不条理がまかり通っているのかについて、あるパネリストが「これが私立の附属病院の暗部」と事情を説明すると、会場は深いため息に包まれた。

患者は“お客様”ではない

こうした危機的な働き方を改革するヒントはないか。

あるパネリストは「オレゴンルールからの脱却」を訴えた。

「自由にいつでも利用できる」「質が高い」「安い」という条件のうち、頑張っても2つしか満たせない、というのがオレゴンルール。だが日本ではこのすべてを満たすことが当然と受け止められている。

「はっきり言って過剰サービスです。それが我々の職場のブラック度に拍車をかけている」

この発言に対し、会場からは「では、やめるべき条件とは何か」との問いが上がったが、パネリストは「患者ができることは“自由にいつでも”というアクセスをやめること。“腰が痛い”と深夜に救急車を飛ばしてやってくるようなことは、もうやめて欲しい」と訴えた。

さらに話題は診療報酬にまで踏み込むことに。

「我々の仕事は、国がラーメン一杯1000円と決めているようなもの。頑張って1200円のラーメンを作っても1000円しかもらえないから、経営が苦しくなるのは当たり前で、無給医問題も解消されない」と窮状を訴え、「それでも歯を食いしばって当直をこなしているのは、ただひたすら“命を救いたい”という医師としての本能」と強調した。

終わりに

20時スタートという遅い時間にもかかわらず、2時間以上も白熱したトークが繰り広げられたワークショップ。会は、増え続ける独身女医を救うための「女医コン」の紹介と、主催者の「医療デザイン研究会を立ち上げる」という案内で幕を閉じた。

Writer : Masahiko Tango